千葉港の, 船橋海老川河口にあった係留施設の桟橋の撤去工事をおこなっている. ここには,深海底鉱物資源探査専用船の第2白嶺丸(だいにはくれいまる)の専用桟橋があったが,第2白嶺丸の廃船にともない,それらの施設の撤去工事をおこなっている.
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専用桟橋の施設も撤去し原状復帰する工事は,ドラムエンジニアリングが落札し,東亜建設工業がその工事を2012年9月28日(金)までおこなう. 桟橋などの撤去工事は,297万円だ.
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第2白嶺丸は,経済産業省管轄の(独)石油天然ガス金属鉱物資源機構(JOGMEC)が所有している. JOGMECの前身は,金属鉱業事業団だった.
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第2白嶺丸は,三菱重工業下関造船所で,1980年(昭和55年)5月に建造された. JOGMECからの委託により,海洋技術開発(OED)が運行している. 当初は,引き船専門の日本海事興業が運行していたが,2000年(平成12年)に業務移譲されていた.
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では,どうして第2白嶺丸を廃船し,専用桟橋を撤去するのだろうか...
日本国の南鳥島の周辺で,大量のレアアース鉱床が見つかった. 日本のレアアースの年間消費量の 230年分にあたる大きな鉱床だ. この貴重な資源を,各国が狙っているともいわれている.
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レアアースとは,原子番号[57](La)から原子番号[71](Lu)にいたる化学的性質が似た15元素のレアアース元素(希土類元素は17元素)のことをいう. 最も重い原子番号[71]のルテチウムは,純度99.99 %のもので 1kg あたり約40 万円にもなる高価なものだ, その他にも,ツリウム[69]が 26.5万円,イットリウム[39]が 1万120円,セリウム[58]が 3620円,ランタン[57]が 2650円となっている. 元素によっては,貴金属並みの流通価格となることがある.
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レアアースは,一般的にはなじみのない元素ばかりではあるが,バッテリーや発光ダイオード,磁石など,付加価値の高いエレクトロニクス製品には必要不可欠な材料となっていて,このレアアースがなければ,今のようなケータイ(携帯電話)の小型化はできなかったといわれている.
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レアアースは,生産コストの安い中国モンゴル自治区バイユンオボ鉱床などの中国産が,全世界の 80% を超える.だが,バイユンオボ鉱床の海外からの見学は一切許されずなぞが多い. しかし,近年中国は,このレアアースを輸出停止や輸出量を絞るなどをおこなっている. バイユンオボ鉱床の実際の埋蔵量は,意外と少ないのではないかという説もある. それまでほとんど中国からの産出に頼っていたものを,アメリカやオーストラリアなどの別の産出国へ変更せざるをおえない状況となっている.
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これらのレアアースメタンハイドレードは,日本近海に大量に眠っていることがわかってきているが,今後もこの探査をおこなう必要がある. しかし,深海底鉱物資源探査専用船第2白嶺丸には,音波機器による探査器や深海用ボーリングマシンを装備しているものの,深い場所のボーリングができない. 30年前に設計された探査船には限界があるのだ. そのようなことから,JOGMEC第2白嶺丸の廃船を決めた.
後続の新海洋資源調査船の白嶺(右). 2010年7月に三菱重工業下関造船所で起工,2011年3月に進水した. 総トン数 6283t, 全長 118.3m, 幅 19.0m. 2種類の大型掘削装置や最新調査機器を搭載している. 総工費は約275億円.
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後続船は,新海洋資源調査船の白嶺(はくれい,丸がとれた)になり,母港は同じ船橋市のサッポロビール千葉工場近くになる.
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(2012年07月05日)海はだれのものか@東京湾岸の海水浴場と潮干狩り編(1)