ゼット(ZED)の公演スタート後すぐに,すでに「あの演目では数年しかもたない」という声が上がっていた. 残念ながら,その予言は当たってしまった.

ゼッド(ZED)のショーコンセプトは 「人生は冒険,そこに詩が生まれる」だ. 2部構成となっていて,開演10分前からクラウン(ピエロ)が座席を回り始め,客いじりが始まる.

▼当初,JR京葉線などの｢広告に出ていた,シルクドゥソレイユのイメージ写真. ▼だが,途中で演目が変わったものと思われる. ▼東洋人風の女性主人公と思われる出演者は,ゼッド(ZED)には参加していない.

第１部が,すべての始まり( バトン)から,天の誕生(バンジー)=>地の誕生(ラッソ)=>初めての光景(ソロティシュー)=>天に向かって(ポール＆トランポリン)=>炎の振り子(ハイワイヤー)=>ケルヌーンの火(ジャグリング)と進んでいく.

第2部が,バベルの塔(バンキン)=>ZEDの恋(ストラップ)=>天と地の出会い(バトン,ハンドトゥハンド)=>祝祭(フライング・トラピス)=>祭典(シャリバリ) となり,カーテンコールとなる.

シルクドゥソレイユシアター東京は,そもそも東京ディズニーリゾートの 25周年の目玉として,駅前の東京ディズニーランドホテル(2008年7月8日グランドオープン)と合わせて企画されたものだった.

地方から夜行バスなどでやってくるゲスト(客)を,1日目はパークで遊び,直営ホテルか契約ホテルで泊まってもらい,2日目を別のパークかシルクドゥソレイユシアター東京で楽しむための呼び水のひとつであった.

2011年3月11日(金) におきた東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)で大打撃を受けたのは間違いないが,実はそれ以前から客入りは惨たんたるものだった. 空き席を目立たなくするために,大量に従業員にチケットをばら撒くといった状況だった.

価格の見直しやパークチケットとの抱き合わせ販売など,数々のテコ入れをおこなってきたものの,大きな改善はできなかった.
▼古代の天文観測儀(アストロラーベ)をもとに,デザインされたステージセット.

シルクドゥソレイユ シアター東京のためだけに作られたゼッド(ZED)は,アクロバットや音楽,照明,ダンスなどが複合的に融合したもので,ショー全体がゆるいストーリーでつながっている.

だが,このゆるいストーリーが敗因だったのではないかと指摘するディズニーファンもいる. また,天や地と精霊たちという設定も,宗教的下地がない日本においてはピンとこない. むしろ,ゼット(ZED)のような不明確なストーリーより,同じディスニーの作品で劇団四季が演じている,美女と野獣やライオンキングの方が日本人ウケする. 事実,ライオンキングは13年にもおよぶロングラン公演となっている.

注目の出演者は,看板役のゼッド(ZED)を演じるアルジェリア出身のレダグェリニック(Reda Guerinik)と,バトントワリング競技で世界チャンピオンに輝いた日本人の稲垣正司だ. 主役のゼッドは,震災直後の2011年6月ごろからミラー役のブラジル出身のダグラスメイラ(Douglas Meira)に代わっている. アルジェリアは,かつてフランス領だったが,そのアルジェリアのサハラ砂漠で6年間で17回の核実験を実験を行った. その後フランスは一切の保障に応じていない. そのような背景から,放射能に敏感な国のひとつとなっている.

震災後に,看板役の突然の交代と,消えた出演者が数名出たことなどから,熱烈なファンから色々な噂が流れていた.

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