2012年5月15日(火)ごろから,利根川水系(江戸川など)の各浄水場の水道水から,高い濃度のホルムアルデヒド(メタナール系統)が相次いで検出され,緊急断水となった. ホルムアルデヒドは,微量でも非常に高い発生率で発ガン性がある.
埼玉県行田市の行田浄水場と埼玉県春日部市の庄和浄水場,千葉県野田市の上花輪浄水場,千葉県流山市の北千葉浄水場などからの水道の配水を停止した. 千葉県流山市の北千葉浄水場においては,5月19日(土) 朝にいったん取水を再開したが,再び停止する事態となってしまった.
<北千葉浄水場の経緯>
5月18日 19:15;江戸川表流水からの原水取水停止(1回目)
5月19日 01:10;原水取水再開
5月19日 07:25;原水取水停止(2回目)
5月19日 10:30;水道水停止
5月19日 17:30;原水取水再開
▼市川市側からみた1級河川江戸川.
国の水質基準に関する省令では,1リットル当たりのホルムアルデヒドは 0.08mg まで(WHO では 0.9mg/L)となっているが,今回浄水場では,0.168mg(2.1倍)が検出された. この数値は,処理済み後と思われるので,原水レベルではもっと高かったと思われる. ホルムアルデヒドは,無色の気体だが,高濃度ではかなり強い刺激臭がある. 水に溶けたものを,ホルマリンと呼び,劇薬扱いになる. 100℃で10分間煮沸しても揮発しないので,家庭では活性炭型浄水器などを使わないと取り除けない.
また,ホルムアルデヒドは,接着剤や塗料,防腐剤などとして建材などに広く使用され,低濃度でもシックハウス症候群の原因物質となっていることが知られる. 現在,建築基準法によりホルムアルデヒドを使う建材の使用制限が設けられている.
この浄水場の配水停止で,千葉県では柏市や野田市,流山市,八千代市など,34万世帯余りが断水,約85万人に影響が出た. 船橋市の一部でも,断水(または減圧)の可能性が出ることが発表されたため,ミネラルウォーターを求める客がスーパーマーケットなどに殺到し,買い占め騒ぎとなっている. 昨年(2011年)から今年にかけて,巨大地震,放射性物質汚染,計画停電,豪雨,雷,竜巻,ホルムアルデヒドによる道断水と,つぎつぎに大きな災害が続いている.
今回の場合,高校などの化学実験などに使うような薬品ビンが,誤って捨てられたといったものではない. かなり広範囲に原水汚染が広がったことなどから,原因となった物質は,原液レベルでタンクローリ車 50台以上になるのではないかといわれている. 常識的に考えれば,タンクローリ車 50台以上もの廃棄物を川に不法廃棄したのは考えにくい.
基準値を下回るものの,すでに 2012年5月15日(火)の段階で,ホルムアルデヒドが検出されていた. 粉末活性炭で吸着させ,次亜塩素酸ソーダ(NaClO)注入点の変更などで,濃度を下げる対応をしていたが,浄水場単位でおこなっていたことなどから,結果的には原因究明が大幅に遅れてしまった. 本来ならば,県や国レベルで対策室を設けなければならないような案件だったが,2012年5月17日夜には群馬県企業局トップと水道局とで宴会をおこなっていたくらいなので,そのような危機感はなかったのだろう. もっと早く原因をつき止めていれば,今回のような大規模な断水は避けられたと思われる.
各浄水場の考えでは,ホルムアルデヒドのまま河川(原水)を流れてきたわけでなく,それとは別の化学物質が川に流れ,浄水場での消毒の過程で,塩素(Cl2)と反応してホルムアルデヒド(CH2OまたはHCHO)が発生したと推測している.
群馬県高崎市付近で利根川に合流する烏川(からすがわ)で,比較的高い数値を検出したことから,烏川上流に原因がある可能性が高いとみているようだ.
▼群馬県高崎市付近の烏川(左側から利根川に合流).
埼玉県行田市の行田浄水場と埼玉県春日部市の庄和浄水場,千葉県野田市の上花輪浄水場,千葉県流山市の北千葉浄水場などからの水道の配水を停止した. 千葉県流山市の北千葉浄水場においては,5月19日(土) 朝にいったん取水を再開したが,再び停止する事態となってしまった.
<北千葉浄水場の経緯>
5月18日 19:15;江戸川表流水からの原水取水停止(1回目)
5月19日 01:10;原水取水再開
5月19日 07:25;原水取水停止(2回目)
5月19日 10:30;水道水停止
5月19日 17:30;原水取水再開
▼市川市側からみた1級河川江戸川.
国の水質基準に関する省令では,1リットル当たりのホルムアルデヒドは 0.08mg まで(WHO では 0.9mg/L)となっているが,今回浄水場では,0.168mg(2.1倍)が検出された. この数値は,処理済み後と思われるので,原水レベルではもっと高かったと思われる. ホルムアルデヒドは,無色の気体だが,高濃度ではかなり強い刺激臭がある. 水に溶けたものを,ホルマリンと呼び,劇薬扱いになる. 100℃で10分間煮沸しても揮発しないので,家庭では活性炭型浄水器などを使わないと取り除けない.
また,ホルムアルデヒドは,接着剤や塗料,防腐剤などとして建材などに広く使用され,低濃度でもシックハウス症候群の原因物質となっていることが知られる. 現在,建築基準法によりホルムアルデヒドを使う建材の使用制限が設けられている.
この浄水場の配水停止で,千葉県では柏市や野田市,流山市,八千代市など,34万世帯余りが断水,約85万人に影響が出た. 船橋市の一部でも,断水(または減圧)の可能性が出ることが発表されたため,ミネラルウォーターを求める客がスーパーマーケットなどに殺到し,買い占め騒ぎとなっている. 昨年(2011年)から今年にかけて,巨大地震,放射性物質汚染,計画停電,豪雨,雷,竜巻,ホルムアルデヒドによる道断水と,つぎつぎに大きな災害が続いている.
今回の場合,高校などの化学実験などに使うような薬品ビンが,誤って捨てられたといったものではない. かなり広範囲に原水汚染が広がったことなどから,原因となった物質は,原液レベルでタンクローリ車 50台以上になるのではないかといわれている. 常識的に考えれば,タンクローリ車 50台以上もの廃棄物を川に不法廃棄したのは考えにくい.
基準値を下回るものの,すでに 2012年5月15日(火)の段階で,ホルムアルデヒドが検出されていた. 粉末活性炭で吸着させ,次亜塩素酸ソーダ(NaClO)注入点の変更などで,濃度を下げる対応をしていたが,浄水場単位でおこなっていたことなどから,結果的には原因究明が大幅に遅れてしまった. 本来ならば,県や国レベルで対策室を設けなければならないような案件だったが,2012年5月17日夜には群馬県企業局トップと水道局とで宴会をおこなっていたくらいなので,そのような危機感はなかったのだろう. もっと早く原因をつき止めていれば,今回のような大規模な断水は避けられたと思われる.
各浄水場の考えでは,ホルムアルデヒドのまま河川(原水)を流れてきたわけでなく,それとは別の化学物質が川に流れ,浄水場での消毒の過程で,塩素(Cl2)と反応してホルムアルデヒド(CH2OまたはHCHO)が発生したと推測している.
群馬県高崎市付近で利根川に合流する烏川(からすがわ)で,比較的高い数値を検出したことから,烏川上流に原因がある可能性が高いとみているようだ.
▼群馬県高崎市付近の烏川(左側から利根川に合流).