習志野市の谷津干潟は,東京湾に残された数少ない干潟となっている. 谷津干潟は,1993年(平成5年)6月10日にラムサール条約登録湿地に登録され,今年(2013年)で20周年を迎える.
その谷津干潟で,谷津干潟保全事業現地見学会が2013年1月26日(土)に開催された. 環境省関東地方環境事務所が主催し,千葉県と習志野市谷津干潟観察センターが協力をした. 谷津干潟保全事業現地見学会は,鳥類の生息環境と周辺の生活環境の改善を目的とする取組となっている. 今年(2013年),はじめての開催となっている.
谷津周辺は,かつては豊富な生き物たちの住む広大な干潟が広がっていた. だが,1970年代ごろから谷津干潟の周りは埋め立てられていき,東京湾とは習志野市側の谷津川と船橋市側の高瀬川の2本の水路でつながるだけの極端に閉鎖的な干潟となってしまった.
満ち潮にしたがい,高瀬川から多くの海水が流入し,谷津干潟の西側から東側へ流れ,引き潮時に谷津川から流出している. 1990年代以降,水質が少しずつ改善していくが,一方で,グリーンタイド(Green tide/緑潮)いう緑の環境問題が起きてくる. 海藻のひとつであるアオサ(石蓴)の異常繁殖問題だ.
異常繁殖したアオサが風によって岸に吹き寄せされて,腐った卵のような臭いの硫化水素(腐敗臭)が発生する. 谷津干潟近くの谷津パークタウンなどの住民を悩ませている.
異常繁殖の原因は,当初は水質の富栄養化が主な原因かといわれていたが,下水道が整備されてきてた現在にもかかわらず,アオサは増える一方だ.
アオサの中でも,ミナミアオサが,グリーンタイドに関与していることがわかっている. 在来種だったアナアオサやリボンアオサが減少し,ミナミアオサ(Ulva ohnoi)が増加している.
ミナミアオサは,秋から冬に谷津干潟をおおう. 谷津干潟の面積は約 40ha あるが,時期によっては 30ha 近くがおおわれることもある.
▼谷津バラ園南側の芝生広場(千葉県習志野市谷津)では,パネル展示や干潟のカニなどに直接触れることができるコナーなどが設置された.
ミナミアオサは食用としての商品価値が低く,家畜のエサにすらならない. 関東地方環境事務所では,この対策のための実験をおこなっている. 谷津干潟の一部をかさ上げや木の杭を打つことなどをして,アオサの集積や吹き寄せを抑制できるかの効果を確認している.
▼谷津干潟北側のかさ上げ試験区.
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(2013年01月17日)冬の風2012-2013@谷津サンプラザ商店街の正月飾り(61)
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満ち潮にしたがい,高瀬川から多くの海水が流入し,谷津干潟の西側から東側へ流れ,引き潮時に谷津川から流出している. 1990年代以降,水質が少しずつ改善していくが,一方で,グリーンタイド(Green tide/緑潮)いう緑の環境問題が起きてくる. 海藻のひとつであるアオサ(石蓴)の異常繁殖問題だ.
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異常繁殖の原因は,当初は水質の富栄養化が主な原因かといわれていたが,下水道が整備されてきてた現在にもかかわらず,アオサは増える一方だ.
アオサの中でも,ミナミアオサが,グリーンタイドに関与していることがわかっている. 在来種だったアナアオサやリボンアオサが減少し,ミナミアオサ(Ulva ohnoi)が増加している.
ミナミアオサは,秋から冬に谷津干潟をおおう. 谷津干潟の面積は約 40ha あるが,時期によっては 30ha 近くがおおわれることもある.
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ミナミアオサは食用としての商品価値が低く,家畜のエサにすらならない. 関東地方環境事務所では,この対策のための実験をおこなっている. 谷津干潟の一部をかさ上げや木の杭を打つことなどをして,アオサの集積や吹き寄せを抑制できるかの効果を確認している.
▼谷津干潟北側のかさ上げ試験区.
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